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"Luto e Luta" 教育は死んだ 先生たちの血と涙


昨年(2014年)後半の教職員の給与が支給されないまま年を越し、
今年度開始と同時にストに突入、
29日間のストののち大幅に遅れて新年度がスタートしたばかりのここパラナ州の公立小中高校が、
4月27日(月)からまたストに入った。
教員の年金を、不足している他の経費に廻すことができる法案を州議会が可決しようとしていたため、
(この法案は結局可決された)
州内の教員たちが州都 Curitiba(クリチーバ)に集結。
この法案の成立を阻止しようと、州議会を目指してデモ行進した。
デモ参加者たちを強制退去させようと軍警察や暴動鎮圧大隊が催涙ガス弾などを使ったため、
ここクリチーバの Centro Cívico(セントロ・スィーヴィコ=官庁街)は騒然となった。



noticias.terra.com.br より
2015.05.04 'Luto e Luta' 教育は死んだ 先生たちの血と涙 01



Gazeta do Povo より
2015.05.04 'Luto e Luta' 教育は死んだ 先生たちの血と涙 02
クリチーバ以外からデモ活動に参加しに来た先生たちは、現場にテントを張って寝泊まりした。



官庁街なので、教育関係者にかかわらず、あらゆる業種のデモ活動がここで行われることが多い。
7~8年この区域に住んでいたので、先生たちのデモ活動も毎年毎回目の前で眺めていたが、
こんな大混乱は見たことがない。
ここは今でもよく行く馴染み深い場所だ。


特に29日(水)午後の 、
PM(軍警察)、 Polícia de Choque(機動隊)、BOPE(特殊警察作戦部隊)などによる無差別攻撃は、
パラナ州では近年最悪の事態となり、
Centro Cívico(セントロ・スィーヴィコ=官庁街)は、まるで戦場のようだった。



noticias.terra.com.br より
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この日、
200名以上のデモ参加者と約20名の軍警察・特殊部隊員がケガをしたり、催涙ガスなどで気分が悪くなり、
応急処置を受けたり病院に運ばれたりした。
ここには住宅街もあれば保育園、ショッピンセンターもある。
すぐ近くの市役所保育園では、
催涙弾などの発射音に怯え、催涙ガス弾のガスで具合の悪くなる子どもたちが出たため、
急遽保護者たちに迎えに来てもらい、休園する事態となった。
子どもたちだけではない。
この地区にはたくさんのオフィスビルがあるが、休業を余儀なくされた。



noticias.terra.com.br より
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応急手当てを受ける人々でごったえす市役所の廊下。



Copa(W杯)開催前や開催中にもデモ活動は活発化し、あの時も軍警察隊や機動隊による鎮圧作戦が行われた。
が、
あの時は、暴徒化したならず者たちの破壊・略奪もヒドかった。
しかし今回は、丸腰の先生や生徒たち。



noticias.terra.com.br より
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先生たちの応援に駆けつけた生徒たち。



ベト・ヒッシャ州知事は、
“石などを投げる者がいるので、警察隊も身を守る必要があるので攻撃した”
と言っているが、
歩道の石畳みの石を掘り返し機動隊に投石したり、柵を壊したり、
という ”暴力” をふるう者はほんのわずかで、
軍警察側の攻撃は明らかに、無抵抗な人たちに対する執拗な無差別攻撃だった。

薄給でがんばっている教育の現場で働く人々への敬意のかけらもないこの無差別攻撃には、
パラナ州民のみならず、ブラジル中の人々が憤慨し、悲しんでいる。
また、世界のメディアにもこのニュースは大きく取り上げられ、
またも、ブラジルは不名誉で恥ずかしい政治の一端を世界に見せることとなった。



Protesto dos professores acaba em confronto com a policia em curitiba
(先生たちのクリチーバでの抗議活動は警察との闘いに終わった)




このビデオのバックで流れている曲は、
Charlie Brown Jr. の “Pra Não Dizer Que Não Falei Das Flores”
'60年代に Geraldo Vandré(ジェラウド・ヴァンドレ)によって書かれた曲で、

"待っていないで行動を起こそう"
"武器を相手に花を持って闘おう"

という趣旨の、軍事政権下のメッセージソング。
政府に睨まれ、軍事政権当時は放送禁止だったにもかかわらず、
反政府デモ活動のテーマソングのような存在になり、人々に愛され、歌われ続けた。
多くのミュージシャンにカヴァーされており、
半世紀近い年月が流れた今日でも、
デモに参加する人々が口ずさんだり、デモのニュースのバックに流れたりしている。
軍警察がデモ鎮圧のために武力行使すると、花を持って抗議する人々がいるのもこの曲から始まったことだ。

Charlie Brown Jr.(シャーリー・ブラウン・ジュニオール)は、
1992年から2013年まで活動していたパンク、ラップ、レゲエのバンド。
2013年3月、
ボーカリストでバンドのメインソングライター Chorão(ショラォン)が、
サンパウロの自宅でコカイン過剰摂取による中毒で死亡。
その半年後 2013年9月には、
バンドのリーダーでベーシスト(ギターやキーボードなども演奏するマルチプレーヤーでもあった)の
Champignon(シャンピニオン)がピストル自殺。
というショッキングなニュースが続いたのは記憶に新しい。


さて、
このデモ鎮圧の裏には、笑うに笑えないエピソードもあった。
パラナ州のほかの町からも応援の軍警察が出動したのだが、
この出張手当も宿泊費も支給されておらず “とりあえず自腹を切れ” という命令だそうで、
400km超離れた町から “出張” してきた軍警察隊の移動のバスは、定員越えのぎゅうぎゅう詰め。
7時間も狭いバスの中で立ちっぱなしだった軍警察隊員たちは、
あまりにもひどい “出張” について憤慨した様子で報道陣のインタビューに答えていた。
あまりの待遇の悪さにむしゃくしゃしていた軍警察隊員たちは、
攻撃することで憂さ晴らししていた向きもあるのでは?という説まで出てくる始末。


政府の定める最低給与は3万5千円程度、月に10万円も稼げれば立派な中流以上でありながら、
マクドナルドのビッグマックセットが約1200円。
iPhoneの値段は日本の約2倍。
政府と政府にひっついているお偉方の汚職・不正で消えた巨額の穴を埋めるため、
(社会派雑誌などの記事を見る限り、総国家予算の約3分の1がどこぞに消えている)
我々は北欧並みの世界最高レベルの高い税金を支払っているのにそれでもなお予算が足りず、
公立学校の先生たちの給与が遅れることもしょっちゅうなのにその上、
今度は先生たちの年金から搾り取ろうとしている。
自分たちは目の飛び出るような額の給料と ”諸経費” と年金を受け取りながら。

Beto Richa(ベト・ヒッシャ)パラナ州知事は、
“この法案を通しても、先生たちに支給する年金は変わらない”
と発言しているが、
専門家たちは、
“足りるわけがない。受け取る額は必ず減る”
と口をそろえる。


当事者の先生、それに応援の生徒たちや一般市民がこれだけ抗議をしたにもかかわらず、
デモ活動は武力で鎮圧され、前述の公立学校教員の年金法案は州議会を通過した。

議会で採決を取り法案を決めることは議会制の正しいやり方であり、
議員は選挙によって選出された人たちなので、
“議会制民主主義” の形は取っている。
が、
法案に反対して平和な抗議をする一般市民に武力を行使して抗議活動を鎮圧するのは、
軍事政権下と変わらない。

この法案が通ってしまったことよりも、武力で民意を抑えようとした州政府のやり方に、
市民・州民・国民はショックを受け、怒りと悲しみに包まれた。


5月1日、Dia do Trabalho(ヂア・ド・トラバーリョ=労働者の日、メーデー。ブラジルでは祝日)。

“パラナ州の教育は死んだ”

人々は黒い服に身を包み、
“Luto e Luta”(喪と闘争)と書かれた垂れ幕や旗を掲げ、
”教育” が納棺された棺を運び、
花を捧げ、
悲しみのデモ行進をした。

先生たちだけではない。
先生たちを応援する生徒、家族、一般の人々も、メーデーのデモ行進に参加した。



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州議会前の噴水池とパラナ州旗は、
先日の攻撃で流された先生たちの血を象徴する赤い絵の具で染められた。



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国民の、現政権PT(労働者党)、現大統領 Dilma Rousseff(ジウマ・ホウセッフィ)に対する不満が沸騰し、
全国で大規模なデモ活動が活発化していることはご承知の通り。

Go to デモに参加して “Lava Jato” Que país é este?
Go to 再びデモに参加して “ビッグチャンス!!”

しかし、
ここパラナ州の舵取りをしているのは、PT(労働者党)ではない。
Beto Richa(ベト・ヒッシャ)州知事は PSDB(ブラジル社会民主党)。
州都 Curitiba(クリチーバ)の市長は、
元PSDB、現PDT(民主労働党)の Gustavo Fruet(グスターヴォ・フルイチ)。
貧困層が中北部と比べて少なく、生活レベルも教育レベルも比較的高いとされるパラナ州では、
PT(労働者党)は弱い。
州知事も州都クリチーバ市長も、一度も PT(労働者党)の候補者が当選したことがなければ、
大統領選で Dilma Rousseff(ジウマ・ホウセッフィ)が過半数を獲得したこともない。

ここでだ、、、、
宿敵 PSDB(ブラジル社会民主党)の今回のこの失態を、PT(労働者党)が見逃すはずがない。
クリチーバ市民であり、パラナ州 PT(労働者党)の出世頭、
ジウマ大統領の下では参謀長官を務める Gleisi Hoffmann(グレイズィ・ホッフィマン)女史が、
ブラジリアからすっ飛んでいらした。
この事態を収拾するためではない。
PMDB(ブラジル民主運動党)であるが近年は PT(労働者党)にひっついていて、
クリチーバ市長やパラナ州知事を務めたこともある Roberto Requião(ホベルト・ヘキアォン)と共に、
ベト・ヒッシャ州知事がやっていることを非難する、一聴カッコいい大演説をぶちかました。

パラナ州では弱い PT(労働者党)の人気を上げるためなのは、見え見え。


国民に教育が行き渡ったら、困るのは “彼ら” なのだ。
小手先のごまかしで票だけ欲しいのだから。
選挙運動時には全ての候補者が決まり文句 “教育・医療・治安” を高らかに謳うが、
どの政党が政権を握っても、教育にはカネをかけない、教育現場で働く人々へのリスペクトもない。



Ivan Lins(イヴァン・リンス)1979年のアルバム “A Noite” に収められている “Formigueiro”(蟻の巣)。

“蟻の巣(のアリたち)に知らせろ!
アリクイが来るぞ!”

で始まるのどかで楽しげなこの曲は、まんまそういう曲だと長年思っていたが、
ブラジルで暮らし始めてからよくよく聴いてみるとその奥には、
当時の軍事政権下において、

“目を覚ませ!ブラジル国民!”

の、強いメッセージが込められていることに気づいた。

国民をバカにした悪しきブラジル政治は、
(表向き)民主主義となった今もその時と変わらず脈々と続いている。

2013年のライブでイヴァンがこの曲を演奏した際は、
もっと具体的に、もっと直接的に、もっと辛辣に、
“彼ら” を批判する詞を加えて歌っている。

Copa(W杯)開催準備で "奴ら" が大儲けし、負担が増えて犠牲となったのは国民。
それに抗議する大規模デモ活動が各地で活発化し、やはり軍警察や機動隊と衝突していた。

Go to Copa das Confederações が始まったブラジル!の光と影
Go to 泥棒と詐欺師のワールドカップ


“ブラジリアにいる "奴ら" について話そうか
ネクタイをしめているけれど大したことない奴ら”

“誰も捕まらない
捕まってもすぐ放される
そしてすぐ戻ってくる
再び伝説となる
だから道に出よう(抗議活動をしよう)
こんな恥知らずなことを終わらせるために”



Ivan Lins - Formigueiro (Ao vivo no Fest Bossa Jazz 2013)







01 de maio de 2015
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