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複雑化する2018全国一斉トラックのスト10日目


【概要】
2018年5月21日(月)から、
全国一斉に、caminhoneiro(トラック運転手)たちの抗議活動(ストライキ)が始まった。
ディーゼルエンジンオイル、ガソリンなどの燃料価格、通行料の高騰や重税に抗議するもので、
全国の国道・州道など幹線道路にて、
トラックが数珠つなぎに連なったまま、停車した状態が続いている。



LUZ E ALEGRIA より
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EL PAÍS より
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また、道路でタイヤを燃やすなどして幹線道路を封鎖している。


ISTOÉ より
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これまでも、
物資輸送を底辺で支えるドライバーたちの重い自己負担は問題にされてきており、
今回も、
ドライバーたちに同情する声は大きく、支援する姿勢を示す個人や団体が多い。
モノの輸送がストップすることで生活に様々な支障をきたすことへの怒りの矛先は、
ドライバーではなく、政府に向けられている。



Paraná TV より
トラック運転手さんたちのストを支援し、テーメル大統領退陣を求めるデモ
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Paraná TV より
私たちは、社会(皆さん)が支持してくれていることに感謝しています
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トラックドライバーでなくとも、
産油国でありながらガソリンなどの価格が高騰し続け、
それによって、結局、芋づる式に、光熱費・物価全般が上昇し続けてきたことに、
抗議したくなる。ってもんだ。
それも、
世界有数の優良企業であった南半球最大の石油採掘会社・ペトロブラスを、
倒産寸前にまで追い込んだ未曾有の汚職事件、
通称 "Lava Jato"(ラヴァ・ジャット=ジェット洗浄)で出した莫大な損失を埋めるため、
という理由もあるわけで、
それは、やっぱり納得がいかない。

Go to "Lava Jato" ついに、ルーラ元大統領に捜査のメス

支援するとは言っても、
燃料や食料や薬品も含むあらゆる物流がストップしたことで、
市民生活に多大な影響が出ており、各主要都市が非常事態を宣言する事態となってしまった。
当然ながら、長引くにつれ、市民生活への影響はどんどん深刻になる。


5月30日(水)、トラックのスト開始から10日目。

主要な組合は、政府の提示した緊急対策案にすでに合意しており、
地域によってかなりの差はあるが、きのう(29日)から、一部のトラックが動き始めた。

しかし、
輸送を再開したトラックをブロックするべく、
道路でタイヤを燃やしたり、
道路を人々が占拠して、トラックが先に進めないようにしたり、
タンクローリーがガソリンスタンドに入るのを阻止したり、
彼らを支援する、という市民たちの意とはまた違う、本末転倒的なデモ活動が活発化しており、
ブラジル史上最低支持率のテーメル政権に反対する人々のデモも重なって、
抗議活動は複雑化。
暴力的にもなってきており、PM(軍警察)が出動する事態になっている。
特に、北部、北東部、中東部で状況が悪く、
比較的マシなここパラナ州でも、
30日現在、国道・州道で約170カ所がまだブロックされているとのこと。
すべてが沈静し、正常化するのには、まだ時間がかかりそうである。

明日(5月31日)は、移動祝日 Corpus Christi(コルプス・クリスチ=聖体の祝日)。
カレンダー上は31日だけが赤いけれども、
この国では、
木曜が祝日になれば、当然、学校も会社も、金曜を勝手にお休みにして、4連休になる。
せっかくの連休だけれど、全国的に、お出かけはキビシイかもしれない。


【市民生活への影響】
各州、各都市、各地域によって、状況にはかなりの差があるが、、、

深刻なのは《医療機関》
薬品や備品が届かないため、予定されていた手術も、緊急以外は延期になっている。
また、
食料、ガス、消耗品が入手できないため、食事が用意できない、シーツなどの洗濯ができない、
など、
厳しい状況が報告されている。


《燃料不足》による影響
ガソリンスタンドに、ガソリンもアルコールもない!
先週後半から、燃料が残っているガソリンスタンドには数キロに渡って行列になっており、
途中で底尽きてしまったことを知らずに、かなりの時間待っている車も多かったようだ。
しまいには、救急車からガソリンを盗む人が出現する始末。

その、救急車だって、燃料がなければ出動できないのだ。
ガソリンがない、ということは、公共交通機関、緊急車両や警察車両にも影響が出る。
町によっては、救急車が通常の10%ほどしか稼働できない日もあり、
救急車が来ない、と泣き叫ぶ人の携帯動画がニュースで流れていた。

ブラジルには、サンパウロやリオ以外には鉄道や地下鉄がないので、
移動手段は、車でなければバスなのだが、
バスも、都市によっては通常の半分以下になったりしている上に、
自家用車の燃料が確保できないため、バスを利用する人が増え、ぎゅうぎゅう詰め。
乗車をあきらめる人も。

きのう(29日)、ようやく、各都市のガソリンスタンドにタンクローリーが到着し始めた。
ここパラナ州都クリチーバでは、
29日午後の時点で、約35%のガソリンスタンドに、ガソリンが届いた。
30日の報告では、約60%に増えた。
この数字は、全国レベルから見て、かなり優秀なほうで、
きょう(30日)夜の報道での数字は、
サンパウロで約17%、
パラナ州第二の都市ロンドリーナで15%と、
地域によって、かなりの差がある。

ガソリンが届き始めたとはいえ、
このまま順調にいったとしても、
需要と供給のバランスが通常に戻るには、4、5日かかるだろうとの見通しである。
いずれにせよ、しばらくはガソリンの節約を強いられるだろう。

飛行機もしかり。
燃料が空港に届かないので、全国の主要空港でもキャンセルが相次ぎ、混乱を極めた。
29日、警察車両にエスコートされた飛行機の燃料タンクローリーが、
各地の空港に向かっている様子が報道された。
なにしろブラジルは広いので、各空港に向かっているとはいえ、行き渡るには時間がかかる。
完全正常化はまだ先になるだろうが、燃料が届き始めたことで、欠航便は減りそうだ。

そんな中、
27日には、seleção(サッカーブラジル代表)が、
ロシアW杯に向けた最終調整のため、特別チャーター機でロンドンの合宿地へと飛び立った。
このチャーター機の燃料は、しっかり確保してあった、と報道された。
そりゃー、そうでしょうな。
ずりぃ~~~!とか、誰も怒りませぬ。
がんばって、6つ目の星を取っておくれよね。
★★★★★☆

もとい。
ガソリンと並んで、生活に欠かせない燃料。
ガス。
都市ガスは整備されていないので、一戸建てても集合住宅でも、
プロパンガスを使用する。



集合住宅のプロパンガス置き場
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これも、トラックの輸送に頼っているため、ガスが切れる家庭も出てきた。
家庭だけでなく、病院や飲食店もプロパンガスなので、運営に影響が出てしまった。



Paraná TV より
プロパンガス屋さんの「ガスはありません」の貼り紙
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人間の生命を支える《飲食料》
自給自足しない限り、産地から各小売店まで、運ばねばならない。
ブラジルには、各都市ごとに CEASA(セアーザ)という食料の卸売市場があり、
スーパーや小売店、飲食店も、ほとんどここから食料品を仕入れる。
いわば、食の心臓。
今回は、
このセアーザにほとんど食料が届かない、町によっては完全に空っぽになるという事態となった。

生産側も、膨大な被害を被っている。
養鶏農家では、エサが流通しなくなったため、鶏が大量に餓死したり、
牧場や酪農家も、なにしろ出荷ができないので、大量の牛乳を捨てたり、
農作物も、ただただ腐っていくのを廃棄するだけ。

28日(月)明け方、パラナ州都クリチーバのセアーザ(食料の卸売市場)。
この時間、いつもなら少なくとも300台のトラックでいっぱいになる市場も、
トラックゼロ、働く人もゼロ。
まったくの空っぽ、とリポーターが報告する。
セアーザに食料がゼロというのは30年ぶり、とリポーターが言っていたような。。。
30年前に一体なにが?



Paraná TV より
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しかも、セアーザ前の道路では、
セアーザで働く労働者たちが、トラックドライバーたちのストを支援するデモを決行。

この状態は29日も続いた。

28日、大手、小規模、合わせて3軒のスーパーに行ってみたが、
肉類コーナーの空きがかなり目立っていた。
そして、野菜と果物コーナーは、ほぼなにもない。
しなびたリンゴ少々と、生姜、ニンニク、ズッキーニが少々。

翌29日、
もしやと思い市営マーケットに行ってみたら、ほかのスーパーよりは野菜も果物もあった。



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それでもやはり、空っぽのコーナーが目立つ上、値段が普段より高い。


レストランも、
「食材とガスが切れているため、営業できません」
という貼り紙を出して、閉店している店が多かった。
セアーザ(食料卸売市場)に食料がゼロであれば、仕入れができない。
ガスがなければ、調理もできない。

ブラジルは、ビュッフェ形式で量り売りの por quilo(ポルキロ)レストランが昼食の主流だが、
たとえ営業はしていても、
ふだんは所狭しと料理が並ぶビュッフェコーナーの、
特にサラダコーナーが、ステンレスの台むき出しのスペースが多くなっていた。



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きょう(30日)、
ようやく、食料を積んだトラックが動き始め、スーパなどにも野菜と果物が戻ってきた。
まだない物も多いが、それでも、色とりどりの野菜や果物コーナーはうれしい。


【スト慣れ】
しかし、
こちらの人々は、たくましい。
特に貧しい層の人々は、今回の事態で相当大変な思いをしているはずだが、
抗議活動の現場や軍が出動しているような現場は別として、
私の行動範囲では、暗さや深刻さや危機感らしきものは、ほとんど感じられなかった。
街中も食料がないスーパーでも、一見、通常どおり。
ほとんど売り物のない生鮮市で、報道リポーターのマイクを向けられた人は当然、
「ジャガイモもニンジンも玉ねぎもないのよ」
と、困った様子で答えるが、
全体的に、”しょうがないなぁ” 的な、”前向きなあきらめ感” が満載だ。

かく申す私も、根拠のない “大丈夫!” でいっぱい。

それには、普段から各種長期ストライキに慣れている、というのもあると思う。

郵便局、銀行、公立学校、交通局などなどなどなどのストは、
毎年、最低でも1ヶ月。
公立学校は2ヶ月ぐらいのストは当たり前だ。

全国一斉トラックのストも、今回が初めてではない。
2013年、これは4日間で収束したので、今回ほどの影響は出ていない。
2015年、この年も、ひどかった。
年に3回もあり、2月~3月にかけてのストは、収束まで約2週間、
4月と11月にも、2、3日間だけれど、ストがあった。

2015年の2月には、よりによってこのスト中に、最南端州に車で行った。
幹線道路は、停車中のトラックに車線がふさがれているためやたらと時間がかかり、
街道沿いのガソリンスタンドにはほとんどガソリンがなく、
ガス欠になりそうでヒヤヒヤしたことを思い出す。



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さすがに、両方向車線ふさがれることはなかったが、対向車が来るので、慎重に進む。



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国道沿いの大手ガソリンスタンドにはガソリンもアルコールもなく、
地元の方に教えていただいた、
「そこにはまだガソリンが残ってるよ」
のガソリンスタンドには、
確かにガソリンはあったが、
かなりシブいガソリンスタンドだったことであるよ。



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【2013年、2015年と今回 2018年のトラックのストを比較検証】
している、報道サイトのページを見つけた。

Go to G1(globo.com)

2015年も、2~3月のストは2週間に及んだため、
ガソリン不足と病院の薬品と消耗品不足はかなり深刻だったが、
食料は、不足はしたものの、ここまで空っぽにはならなかった。

この時は、
燃料費高騰に対する抗議以外に、
結局は弾劾で退くこととなった、当時のジウマ大統領の退陣を求めていて、
トラックによってブロックされていたのは、26州+1連邦区(DF)のうち、12州だけだった。

今回は、DF(連邦直轄区)も含めた、ほぼ全ての州がブロックされ、
全国の主要組合がストに参加したことで、影響が大きくなってしまったと思われる。


【おしまいに】
道路でのトラックドライバーさんたちは、
私の印象では、
ほとんどの方がマナーがよく、優しい。
重い荷物を積んでいるトラックは、速度が極端に遅い。
制限速度80~110kmほどの国道で、
登りだったりすると、
時速20kmぐらいで進む、歩いた方が速いかも?な、カメのようなトラックも多いのだ。
追越車線のない、片側1車線の国道も多いのだが、
追い越そうとしている時、対向車が来ていると、左ウインカーを出して知らせてくれる。
逆に、追い越してOKだよ~、という時には、右ウインカーの合図を出して、
追い越しやすいように少し右に寄ってくれたりする。
過酷な労働で自己負担の多い、そんなトラック運転手さんたちの労働条件が、
少しでもよくなることを願う。


しかしだ、
この国はほんと、
よい意味でも悪い意味でも、
“生きている” 実感が味わえることであるよ。
きょうも、生きてる。
ありがとう。






30 de maio de 2018
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